積立投資は年初一括・毎月・毎日のどれがいい?

積立NISAで運用している人なら一度は考えるのではないでしょうか。

「年初一括で投資するか、毎月積み立て、毎日積み立てのどれが一番リターンがいいのだろうか」

この記事ではS&P500の過去実績を元にシミュレーションしたいと思います。

 

・どれを選んでもほぼ同じ
・リターンは年初一括>毎月≧毎日

・値動きが気になる初心者の方は無難に毎月を選択するのが吉
 
 

S&P500のシミュレーション

以下の図をご覧ください。

過去30年間に渡ってS&P500(ドル、名目値)に積立投資した場合の資産残高の推移です。
※1990年1月1日~2019年12月31日まで

 

年間12,000ドルを①年初一括投資、②毎月積み立て(月初投資)、③毎日積み立てした場合の3パターンで表しています。

 

 
スワン
ちゃん
…どれも一緒ね。

 

 
ヤンピン
…ですね。
 

見えませんが、黄色い線(毎月積み立て)の真後ろに赤い線(毎日積み立て)が隠れています。

 

リターンは年初一括投資が若干いい

ほとんど同じ動きをする3パターンですが、細かく見ていくと年初一括投資が若干リターンがいいことが分かります。

(あくまで若干です。年平均利回りに直すと誤差の範囲と言っていいと思います。)

 

市場に資金を長く置いておいた方がリターンは良くなるはずなので、当然と言えば当然です。

※なお、20年後のリターンが低いのはリーマンショック直後(2010年)だからです。

 

細かいリターンまで追求したい方・年初時点で資金の余裕のある方は、年初一括投資にすればいいと思います。

 

年初の一括投資ってどうすればいいの?

つみたてNISAの設定では「毎月」か「毎日」しか選べません。

しかし、これとは別に「ボーナス月設定」という機能があります。

年初に一括投資するには、ボーナス月を1月とし、金額を40万円に設定する、ただこれだけです。

 

初心者は無難に毎月積み立てを

さて、ここまで「基本はどれを選んでも同じ。細かいところまで気になる人は年初一括投資がおすすめ」と書いてきましたが、初心者の方は無難に毎月積み立てをしておけばいいと思います。

理由は以下3点。

 

  1.  一括投資をすると値動きがどうしても気になる
  2.  年一括投資では楽天証券のカード払いが使えない
  3.  初心者のうちから年初一括投資ができる人は、アセットアロケーションが崩れている可能性がある

 

それぞれ見ていきましょう

 

①値動きが気になる

インデックス投資は投資期間が30年~40年あります。

この時、何より重要なのが「積立投資を継続すること」です。

 

途中で値動きが気になる余り狼狽売りをする、などと言うことになっては目も当てられません。

ストレスなく継続する方法として、毎月積み立ては優れた手法だと言えます。

 

 
ヤンピン
色んな雑音が聞こえてくる世界で、ずーっと市場に残り続けることは、思っているよりはるかに難しいです。
 

②楽天カード払い

楽天証券では月5万円まで楽天カードでの支払いが認められています

 

楽天カードでの積み立て分には1%のポイントがつきますから、何もしなくても年間6,000円分のポイントが返ってくることになります。

たかが6,000円ですが、塵も積もれば山となります。

 

たまに「楽天カードの1%」を利回りが+1%になるかのように書いているブログがありますが、大間違いです。
あくまで「入金額の1%」であり、元本に影響を与えないため、資産残高が十分大きければ利回りを押し上げる効果はほとんどないです。
 

③アセットアロケーションが崩れる

資産残高が十分大きい人であれば積立NISAの年初一括投資でアセットアロケーションが崩れるなどと言うことはありません。

 

しかし、投資を始めたての初心者の方が年初一括投資をすると、恐らく一時的にリスク許容度を超えた投資になり、毎月の給与等で少しずつ適正な許容度に戻していくことになると思います。

①にもつながりますが、リスク許容度を超えた投資をしていると、値動きに敏感になってしまい精神を消耗してしまいます。

 

 

毎日積み立てはやめておいた方が良い

さて、積み立て投資を始めたばかりのころは、「ドルコスト平均法こそが最強、その中でも毎日積み立ては究極のドルコスト法」などと考えがちです。

これには2点勘違いがあります。

 

  1.  ドルコスト平均法はリターンを増加させる方法ではない
  2.  毎日積み立ては究極どころか、逆に管理の手間が増える

 

それぞれ見ていきます。

①ドルコスト平均法ではリターンはよくならない

ドルコスト平均法は取得価格を平準化する効果はありますが、リターンを上げる効果はありません。

ドルコスト平均法が真価を発揮するのは「価格の変動が大きな商品」に投資する時であり、インデックス投資のように(下落局面はあれど)長期的にはなだらかに右肩成長していく商品では、機会損失をもたらす方が大きいです。

 

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右肩上がりの局面では基本的に「長く市場にお金を置いておく」方がリターンが良くなります。

毎月積み立てでは、年初一括投資と比べて約半分(54%)しか市場にお金を置いておくことができないため、リターンが下がるのは当然と言えます。

※毎月1,000ドル積立投資した場合、月平均にならすと6,500ドル((1,000+12,000)÷2)を市場に置いているのに対し、年初一括投資では常に12,000ドルを置いている。

 

毎日積み立てでは、毎月積み立てよりも更に市場投下のタイミングを繰り延べるため、理論上はリターンが更に下がることになります。
※実際には、毎月積み立てと毎日積み立ての差は誤差ほどもありませんが…。

これが、勘違いの1つ目です。

 

②毎日積み立ては管理の手間が増える

2つ目の勘違いについてですが、実際に毎日積み立てを実施してみると分かりますが、投資信託を買っていると「ファンド休日」というものに当たることがあります。

ファンドが休日の時に注文を出しても、注文は受け付けられず、また翌営業日に繰り越されることもありません。

 

こうした休日が挟まると、当初想定していたつみたてNISA枠ぎりぎりの設定が使い切れなくなることになり、手動で金額を設定しなおさなければなりません。

リターンも減って手間も増えるだけなので、毎日積み立てはやめておきましょう。

 

終わりに

いかがでしょうか。

改めてまとめると、以下の通りです。

 

  •  リターンはほぼ変わらないが、年初一括投資が若干よい。
  •  初心者の方は、無難に毎月投資にしておきましょう。
  •  値動きが気にならなくなってきたら、年初に一括で投資して、あとは放ったらかしにしておきましょう。
  •  毎日積み立てはやめておきましょう。