これから投資を始めようと思っている方が、まず何よりも最初にしなければならないこと。
それは、生活防衛資金を貯めることです。
多くの投資ブロガーが生活防衛資金の重要性を説いており、額については少ない人で生活費の3ヶ月程度、多い人では生活費の2年程度を目安にするよう書いています。
この記事では、商社マンにとって生活防衛資金はいくら必要か、考えていきたいと思います。
生活防衛資金とは
そもそも生活防衛資金とは、「何かがあった時に生活を守るための資金」のことです。
生活に困窮して金融資産を不本意に安く売る必要がないように、手元に生活を守るための現金を持っておく必要があります。
では、「何か」とは何でしょうか。一般的に、以下のような事象が考えられます。
- 会社をリストラされて収入がなくなる
- 病気・怪我により働けなくなる
- 障害を負ってしまい働けなくなる
- 災害発生により仕事ができなくなる
これらの事象に対して、それぞれ以下の3点を考えてみましょう。
- その事象が起きる確率はどの程度か。
- その事象が起きた場合、どの程度の金額インパクトが発生するか。
- 貯金で対応するか、保険で対応するか。
ちゃん
②は大した金額でなければ備える必要はない、ということね。
③はどういうことかしら?
そのような場合は、保険でカバーすることも選択肢に入れて考えましょう。
1.会社をリストラされる
①発生する確率
商社マンがクビになる確率は非常に低いです。
良くも悪くも伝統的な日本式の雇用形態がいまだに続いており、外資系のようにパフォーマンスが悪い・業績が悪いからという理由でリストラになることはほぼないと言っていいでしょう。
ちゃん
②金額インパクト
もしも失業した場合、生活のためにいくら必要になるでしょうか。
通常、転職には3ヶ月程度の期間がかかるそうですが、上述の通り「失業する=会社が潰れるレベルのできごとが起こる」と仮定すると、リーマンショッククラスの市場環境を想定していた方がよさそうです。
ここでは、転職に1年間かかると仮定しましょう。
生活費
年齢や子供の有無によっても異りますので、具体的な生活費は適宜見直しが必要です。
(生活費の把握については別の記事で詳述します。)
ここでは、私ヤンピンの家計をベースに50万円/月で計算します。
しかし、600万円をすべて自分で備えておく必要はありません。
失業手当があるからです。
失業手当
詳しくは失業手当の記事で書きますが、失業時のおおよその給付額は以下表の通りとなります。
※厳密には諸条件により異なりますので、ハローワーク等での確認が必要です。
【失業手当額(会社都合の失業・22歳で総合商社に入った場合)】
年齢 | 給付額/日 | 給付日数 | 給付額合計 | 必要額* |
30歳未満 | 6,750円 | 90日~ 120日 | 約60万円~ 約80万円 | 約520万円~ 約540万円 |
30歳以上~ 35歳未満 | 7,495円 | 180日~ 210日 | 約130万円~ 約160万円 | 約440万円~ 約470万円 |
35歳以上~ 45歳未満 | 7,495円 | 240日~ 270日 | 約180万円~ 約200万円 | 約400万円~ 約420万円 |
45歳以上~ 60歳未満 | 8,250円 | 330日 | 約270万円 | 約330万円 |
60歳以上~ 65歳未満 | 7,083円 | 240日 | 約170万円 | 約430万円 |
*あくまで1年間に必要な生活費を600万円とした場合の数字です。
ちゃん
③貯金か保険か
400~500万円程度であれば、わざわざ保険をかけておくこともないでしょう。
貯金で備えておけばよいと思います。
ちゃん
2.病気・怪我の場合
①発生する確率
それほど高くはありませんが、リストラよりは現実的に起こり得るものです。
必要に応じて備えておく必要があります。
②金額インパクト
収入面
病気、怪我で働けなくなった場合、基本的には給与は変わらず支給されます。(心の病気含む)
詳しくは、会社の給与規定を確認しましょう。年次によって、給与が支給される期間が半年~3年程度あるはずです。
ちゃん
費用面
仮に、半年間入院せざるを得ない病気・怪我になったとしましょう。
その場合、いくら費用が掛かるのでしょうか。
詳しくは別の記事に書きますが、日本には「高額療養費制度」という凄まじい医療制度があり、負担額はかなり少なくて済みます。
ちゃん
しかも、公的制度に加えて、総合商社の健康保険組合では、本人負担が月額2万円になるように、医療費が後日支給されるという凄まじい制度があるはずです。
自社の健康保険組合に確認しましょう。
ちゃん
③貯金か保険か
病気・怪我の場合
貯金も保険も不要なレベルで手厚く保護されています。
逆に、医療保険に入っている人は考え直した方が良いでしょう。
ちゃん
3.障害の場合
①発生する確率
リストラ以上、病気・怪我未満、というところでしょうか。
備えておく必要はあると思います。
②金額インパクト
収入面
障害を負ってしまった場合、少なくとも休職する必要が出てくるでしょう。
その場合、給与は支給されなくなります。
ただし、公的補助として、障害手当は出る可能性があります。(詳しくは別の記事に書きます。)
ちゃん
費用面
算定は難しいですが、長期の入院や治療など、相当の負担が発生することが予想されます。
貯金か保険か
収入も不安定になり、多額のお金も出ていきます。
貯金で備えておくことは難しく、保険でカバーする必要があるでしょう。
4.災害の場合
①発生する確率
ここ10年で区切ってみても、地震・津波・台風など記憶に新しいところです。
備えておく必要はあるでしょう。
②金額インパクト
収入面
災害で働けなくなった場合でも、給与は支給されます。(減額無し)
詳しくは給与規定で確認しましょう。
費用面
火事で家が消失するなどのレベルの被害が発生すると、凄まじい費用が発生します。
③貯金か保険か
災害で生活の基盤がなくなってしまうような場合、貯金での備えは難しいでしょう。
保険でカバーする必要があると考えます。
結論
商社マンの生活防衛資金として、考えておく必要があるのは、「会社が潰れて無職になった場合の400~500万円程度」、ということになります。
ちゃん
…という考え方もあり得ますが、長期投資において「手元に十分な現金がある」という安心感は非常に大事です。
暴落時に狼狽売りに走ることなく、冷静にマーケットを見られるのは、心とお金の余裕を持っている人だけです。
その観点からも、400~500万円程度を持っておくことは合理的と言えるでしょう。